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特記なきはすべて新品商品
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2018.4.3 最終確認

ロジックボードから電子部品を取り外す
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基板から電子部品をはずすときに1本のハンダごてとハンダ吸取り線だけではずせないことがよくあります。このページでは、当店で使用・実践しているものを紹介します。

 

多極コネクタ・ソケット、DIPタイプのIC、表面実装タイプのICなどをはずすには、安価なものから高価なものまでとにかく専用のツールが必要となりますが、どんなものを使うにしても基本は

1ピン1ピンが確実にハンダづけから開放されていることを確認してから部品を「ずらす」こと

ハンダを吸取ったあとそのピンを動かしてみて、フリーの状態になっていればOKです。

無理をすればスルーホールが抜けてしまったり基板パターンがはがれてしまったり、最悪の場合は左の写真のように部品が損傷します。

メモリスロットをはずした例で、29ピン目のハンダが取りきれていなかったためにスロットからピンが抜けて残ってしまった失敗例です。

ヒートガンの使用について

BGAチップや表面実装型部品の取り外しにヒートガン(工業用ドライヤー)を使う方法もありますが、温度コントロール(設定/監視)ができないため、はずしたICが過熱のため故障して再利用できなかったり、周囲の部品にまで加熱の影響が及ぶので、当店では「貴重な基板から部品をはずす手段としては不適当だと考えます。

  (作業中に加熱部分の裏面の部品が落っこちたりして、気がついたときにはどこについていたものかわからないことが多いです)

 ハンダゴてが熱量供給不足になる部品のはずし方

当店では安物のハンダゴてからステーションタイプのものまでいろいろなハンダゴてを用途に応じて使い分けています。ハンダ付けする場合、1.0mm未満の狭いピッチのIC類は15Wのものを使いますが、通常はニクロム30Wタイプのものと、60Wステーションタイプを360℃設定で使っています。

ところが、ランドパターンの面積が広い電源ユニット基板の部品や、ロジックボードのGNDパターンに接続された部品の足を取り外すとなると30Wタイプではパターン側に熱量が取られてしまいハンダづけ部分は加熱不足でハンダが溶けないことがよくあります。

SE/30のロジックボードの部品でいうとネットワークフィルタのRP2、RP3、RP10の1,10,11,20番ピン、内蔵SCSIコネクタの1-49番の奇数番ピン、横型電解コンデンサC2およびC11のGND側です。iMacG5ロジックボードの立型電解コンデンサ交換(25個前後)も同じです。

60Wステーションタイプを最高の450℃設定、また下記の電動ハンダ吸取り機を最高の450℃設定にしてもまったく歯が立ちません。しかし同じ60Wでも「PLCCタイプのICをはずす専用ハンダゴての自作」で使っている昔ながらの銅棒をけずりながら使用する板金用タイプのハンダゴてなら供給熱量が十分で、なんとかハンダを半固体状態まで溶かしてくれます。これ以上に熱量が大きいと基板パターンがはがれたりコゲたりしますので、このあたりの熱量のもので加熱時間に気をつけながら部品のほうを引き抜けばなんとかはずせます。

内蔵SCSIコネクタの1-49番の奇数番ピンのように、複数ピン(25本)を同時加熱しなければいけない場合は、銅板で専用のコテ先を自作したり低温ハンダを使う必要があります。

引き抜きは慎重に

加熱不足のままいっきに強く引き抜くと基板のスルーホールを損傷することがあるので、裏側から「最後まで加熱しながらゆっくり左右に回転させて引き抜くのがコツです

 

はずした部品の再利用、新品交換のための準備作業

(1)はずしたICの身だしなみを整える

大事な基板かからはずしたICを、もう一度再利用する場合には、酸化した足の表面を平ヤスリやサンドペーパーで研磨します。

とくにはずしたICの部分をソケット化する場合には、ハンダかすをきちんと除去しておかなければなりません。

さらに、SE/30などに多用されているPLCCの表面実装型のICのように、4方向から圧力をかけるPLCCソケットに置き換えて元のPLCCを再利用する場合は、足の表面のデコボコをきちんと平滑にします。

筆者は写真1のような木製の保持具を作り、ハンダ吸い取り線を当てて、加熱しながら手前にすべらすことで足の表面のハンダをほぼ完全に除去していますが、保持具の角穴にPLCCを挿し込んでいるので、力をかけてもICは手前に倒れません。

4辺のハンダを除去したら遠心分離装器にかけて溶けて茶色になっているヤニを除去します。遠心分離器とは、見ての通り、ネスカフェゴールドブレンドの空きビンに阿多ノールを入れただけのものです。清掃したICを入れて回転させればヤニはアルコールで溶けながら遠心力で分離されます。こすらなくても完璧にピカピカになります。このやり方は完璧です。違いがわかるかな〜 ダバダー...。

 

(2)スルーホール(ハンダの穴)もドリルで穴あけ処理

iMacG5のロジックボードやほぼすべてのPCの電源基板からコンデンサをはずしても、スルーホール内に残ったハンダはどんなにハンダ吸取り線などを使っても除去しきれません加熱除去ではなく切削除去が手っとり早いです。

精密ピンバイス(写真2)に0.8mmφのドリル刃を装着して指でバイスを回しながらスルーホールのハンダ部分に穴をあけます。

一般の電子部品の足は0.6mmφのものが多く、基板のスルーホールは1.0mmφで作られているためドリル刃は中間の0.8mmφを使いますが、最近の高密度な基板ではスルーホールが0.8mmφのものもありますので要注意です。この場合は0.6mmφのドリル刃を使います。穴あけ作業での切り粉は、「吹き飛ばす」と他のICの足の隙間などに入ってショートの原因となりますので、かならず掃除機で吸取ります。

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【写真1】

PLCCタイプの木製ホルダーにセットしてハンダ掃除。仕上げは高性能遠心分離器でピカピカに。

【写真2】

iボール盤用のピンバイスホルダー。手回しでやるほうが失敗なく穴位置ずれしません。

 ホットピンセット(2列までの列状タイプの表面実装型IC、DIP型ICおよびICソケット)

SE/30 ロジックボードでは74および75シリーズのロジックICと、フィルタICの取はずしに使います。先端に装着した銅板の幅までを同時に加熱し、ハンダがとけたところをそのままつまんで引き上げるピンセットタイプで、この名前があります。

    HOZAN製 HS-400 (現行HS-401、定価38,000円税抜き)     列方向最大20mm、列間最大10mmまで取りはずし可

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撮影用に新品の表面実装取外し用アダプタを装着。

先端に取り付けた銅製の表面実装取外し用アダプタで、複数のICの足を同時に加熱してはさんでICをつまみあげる。

74F393を取りはずす。

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メモリスロット取りはずし完了

メモリスロットをすべてシングルタイプの金属フックに

SE/30の30ピン・メモリスロットは2列一体タイプの珍しい形状です。各列9ピン目と22ピン目(黄色の点線内)はGNDに落ちていて、ハンダ吸取り線、電動ハンダ吸取り機でもハンダを取りきれずなかなかはずせません。まず無理です。

この場合は、さきに電動ハンダ吸取り機でほかのピンを処理し、最後にホットピンセットで9ピン同士、22ピン同士をそれぞれ同時にはさんで、スロットの下に時計ドライバの大きめのものを割り込ませながらスロットを引き上げればなんとかはずせます。プラスチック製の支持ピンはとくにFPU側が固いので、最後は時計ドライバを組み合わせててこの原理で「1本ずつ」2列のバランスを取りながら持ち上げます。

もし9、22ピンが残ってしまっても、あとから差込んで隙間や高さを確認すればOKです。

 表面実装IC取外しキット・低温ハンダ(4辺タイプや、長辺タイプの取外しにも使える)

低温ハンダとも呼ばれる融点の低い(58℃)ハンダと専用フラックスのセットで販売されています。これを既存のハンダ部分に追加して混合することで融点が93℃以下となり、ハンダごてを離しても数秒間ハンダが溶けた状態を維持できるようになります。低温ハンダを追加した辺を30W程度のハンダゴてでくり返しなぞってハンダが溶けている間に部品をつまみあげます。

SE/30 ロジックボードでは、周囲4辺にすべて足をもつ20、28、44、68、84ピンのPLCCタイプのICが実装されており、とくに44ピンのNCR53C80(SCSI制御)などをはずす場合に便利です。

製品としてはサンハヤト製SMD-21(定価5,108円、1.2mmφ×80cm)が有名ですが値段が張ります。その供給元ではないかと当店が考える安価な「CHIP QUIK」( 2,200円程度、1.2mmφ×76cm) でも、1セットあればSE/30 1台分のPLCCがはずせますが、CHIP QUIKの現在の国内取扱いはDigi-Key社のみで送料が2,000円(購入金額7,500円未満の場合)かかります。

こうした中、2015.10、千住金属工業から低温ハンダ「LEO」シリーズが発売されました。50g巻が4,000円程度(0.8mmφ×約13m)と単位体積あたりの価格もCHIP QUIKの1/4以下、サンハヤト製に比べれば実に1/10で、専用フラックスも不要です。融点はほかの2点に比べて140℃(普通のハンダは190℃前後)と少し高いですが、「ハンダ付け職人」さんのブログに「ホットプレートやホットエアーなどで100℃程度に予熱」とありがたいアドバイスがあります。つまり家庭用ドライヤーの併用でハンディは帳消しだといえます。

低温ハンダはメモリスロットやコネクタ類にも使え、何よりもはずす部品に熱的なストレスを与えないのが最大のメリットであり、部品の再利用を目的にした場合にはこれが一番のおすすめです。

高価であることと、ほかの部品の金属部分に低温ハンダが飛散しないよう養生してから作業すること、そしてはずしたあとの基板と部品から低温ハンダ成分を除去する作業に手間がかかることなど、長短があります。

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CHIP QUICKの専用フラックスを塗布して、足間をブリッジするようにたっぷりと低温ハンダを追加。

周囲に部品が少ない場合は養生なしでICをずらしてもOK。部品を再利用する場合は部品と基板の両方から低温ハンダの混じったハンダを除去します。回収した低温ハンダは融点が上がり能力が落ちますがなんとかもう一度使うことができます。

千住金属製 低温ハンダ LEO

 電動ハンダ吸取り機(貫通型部品向け全般)

電動吸取りタイプは、100圴でも売っている安価な手動の吸取り専用スッポン、3000円クラスのヒーター加熱型手動吸取りの「はんだシュッ太郎(サンハヤト)」に比べて、格段の楽チン吸取りができますが、どのメーカーも桁違いに高価なのが最大のネックです。

SE/30 ロジックボードではCPU、DIP型のIC、SCSIやFDD用コネクタ、メモリスロット、PDS、ROMSIMMスロットなど、端子が基板を貫通している部品すべてにたいして使えます。

DENON製 SC-7000Z(定価43,000円税抜き)が有名で、エンジニア製、SURE=石崎電機製作所製はすべてOEM製品。

実装されている部品の中でもGND面につながっている端子(特に上述のメモリスロットや、フィルタPR2,3,10などのGND端子)はどうしても熱量不足になるので、追加ハンダしてさらにじっくり加熱してから吸引したり、これで加熱しながら基板の裏側から手で部品を引き抜くなど工夫が必要です。

SC-7000ZおよびそのOEM製品では、オプションでホットブロー用ノズルがあり、吸引を吹き出しに切替えてPLCCなどの表面実装部品をはずせることになっていますが、説明書の記述も簡潔すぎるうえメーカーの営業担当の電話回答もあまりくわしくなかったので、とりあえず吸引専用ということで満足しています。いずれにしろSE/30のロジックボードは貴重品であり、部品を再利用するためにもヒートガンとしてのホットブロー機能は使わないのが無難です。

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旧モデルのSC-7000 ですがホットブローをしないのでこれで十分。ヤフオクで1年待ってやっと入手。

GND端子でも追いハンダして吸引すれば68030CPUもこのとおり、難なく全ピンをはずせます。

CPUをソケット化し、さらにはずしたCPUを再利用する場合は、CPUの足をよく吸引して吸取り線でも除去し、最後に丁寧にヤスリがけしてハンダが残らないようにします。

 ホットブロー装置でSE/30 の直付けCPU をはずしてソケット化する

シマシマックの解決には、CPUの各足が周辺ICとちゃんとつながっているかを確認する必要がありますが、以下のように、一度CPUを取りはずしてICソケット化すれば、ほかの表面実装のICと同じ面で基板パターンの導通確認作業ができるのでとても楽になります。

これまでの経験上CPU自体は故障しませんから、パターンの導通確認のためだけと考えれば、そこまでしなくてもということになりますが、一応参考ということで。

ロジックボードは平アルミ板とコの字型アルミチャンネル2本を組み合わせて、自立できるようにしてあります。(写真1)

450℃まで設定できるホットブロー装置の先端にPLCC84ピン用のノズルを装着し、写真2のように、フライス盤用のバイス(15kgクラスのがっちり重いタイプ)に水平に装着します。

事前に前項の電動吸い取り機を使ってCPUのほとんどのピンからハンダを除去してあるので、CPUを短時間の加熱で抜き取ることができます。

写真3のように足の先端とブローノズルの先端は0.5センチ程度にして広めに熱風が届くようにします。

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【写真1】

アルミ平板にコの字型のチャンネル(8x5.5x1.0)棒(左)を背中合わせに両面テープで固定した自作の基板立て

【写真2】

ホットブロー装置をバイスに水平に固定し真横から加熱。

【写真3】

ブロー先端位置とCPUの足の先端とのすきまは5mmぐらい。

加熱してハンダが溶けたら、CPU側からピンセット状の引き抜き機で引き抜きます。

参考までに加熱時間は、170℃-120秒、250℃-30秒、300℃-30秒、350℃-30秒、390℃-60秒の約5分ほどで、390℃の時間が短すぎると基板のスルーホールまでいっしょに抜けるので注意です。(抜けても直配線できるので心配いりません)

CPUが抜けたら、足をよく掃除してから、秋月電子通商の丸ピンICソケット(シングル)を124ピン分すべてにかぶせます。(写真4の右端)

そのままロジックボードに124ピン分のハンダ付けをします。

シングルピンをCPUに装着したままハンダ付けするので、シングルピンの各足は完璧に正確に前後左右2.54mmピッチとなります。

最後にCPUを抜き取れば、後期型CPU直付けロジックボードが、1000円もかからない部品(1列40ピンが@80円です)で前期型のようなソケット型ロジックボードになります。

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【写真4】

右端が、はずしたCPU(中央)にシングルのピンソケットをかぶせた状態。左端は初期型のCPU。

市販のPGAソケットのピン数・ピン配置に合わなくてもシングルピンなら自在に配置可能。

シングルソケットピンを前期型のCPUソケットに挿す

前期型のCPUソケットは、穴が細くて深いためテスターのリード棒が入らず、そのままではCPUまわりの断線確認には役に立ちませんが、純正のCPUソケットのピン穴に今回使用した丸ピンICソケット(シングル)を立てることで、おもて面から各ICとの基板パターンの断線を手軽にチェックできます。(写真1)

丸ピンICソケットの頭部は、ICの足を挿し込みやすくする「ロート」の形状(写真2)になっているので、テスターのリード棒の先端がずれにくく快適に作業できます。

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【写真1】

C1〜C13とF1〜F3に丸ピンを立てる。

【写真2】

任意のピン数に切断可能。手で追ってもカッター刃で切手もよいが、筆者は細かいのこぎりで切断。

PLCCをハンダづけするならやっぱり専用のこて先
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T12-JL02 (定価 1,620円税抜き)

T12-B2Z (定価 1,600円税抜き)

一般型のこて先ではPLCCの下方に巻き込んだ足に届く前に、右どなりのFDDコネクタの樹脂に接触してしまいます。

狭い場所やもぐりこんでハンダ付けするJL02タイプでは、となりの部品との接触の心配はなし。

こちらで紹介した白 ステーション型ハンダゴテ FX-951がベストセラーなのは、性能もさることながら、こて先オプションの豊富さにもあると思われます。

普通のこて先ではこれまで何度もFDDコネクタやSCSIコネクタの樹脂部分をこがしてきましたが、特殊形状のこて先なら上の右側の写真のようにこれまでの失敗がウソのよう。

このこて先1,620円ですが0.3mmφハンダとセットで使えば、0.5mmピッチのICのハンダ付けも難なくこなせますが、PLCCの表面実装タイプをハンダ付けするときは、0.3mmだとまちがって触れただけで溶けて切れてしまうので、集中していないとハンダが1mmぐらいにちぎれて足の奥でショート状態になる場合がありますから、ICの足とパターンの接点部分から目を離さずに作業をする必要があります。

PLCCタイプのICをはずす専用ハンダゴての自作
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記事スペースが足りないので、単独記事のページを作りました。

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SCA80-50変換コネクタとターミネータ

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 カモン製SCA80-50ピン変換基板にパッシブ・ターミネータを実装する

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